介護職でも人事異動の辞令がおりる事はある。地道にコツコツと利用者との信頼関係を築いてきた者にとっては腑に落ちないかもしれない。自分が新しい職場で一からスタートさせる事に対しての不安はもちろん、認知症の利用者は周りの環境が変わると不安定になる事もあり、わざわざ慣れ親しんだ環境から変える必要があるのかと疑問に感じるのだ。デメリットな要素が多い印象の人事異動だが、わざわざ敢行するのはそれなりに理由がある。単純に欠員が出た、職場の人間関係が悪い、また職員に色々な経験をさせて介護スキルを磨いて欲しいといった経営側の思いなどが挙げられる。
人事異動を言い渡された時は不本意であっても、決して自分にデメリットになる事だけではない。ずっと同じ環境で働いていると慣れも出てしまい、不注意からミスを発生させてしまう事もある。新しい職場ではまた新人の頃のような新鮮な気持ちで仕事にも取り組め、それは自分自身にとっても施設全体にとっても良い影響を与える。また違う職場に移ると、新たな知識や技術を学ぶ事も出来る。これまで思いもしなかった事を発見し自分の身につけていくと、介護士としても更なるスキルアップが望めるのだ。
ちなみに利用者にとっても人事異動はマイナスになる事だけではない。1人のスタッフに固執している場合、何らかの事情でそのスタッフが退職した時に大きなショックを受ける事になる。もし仲の良いスタッフが複数人いればショックを和らげる事ができ、利用者が受けるリスクも最小限に留められるのだ。